相続税の計算方法と4つの手順

今回は、「相続税の計算方法」について解説します。相続税をいきなり算出することはできません。4つの計算をすることで、はじめて自分の納税額が分かります。

具体例を交えながら、相続に関することの中でもとりわけ分かりづらい、相続税の計算方法についてご説明します。

相続税とは

相続税とは、故人の財産を相続する際にかかる国税のことをいいます。故人の遺産が基礎控除額を超えるときは、遺産を相続した人は相続税を支払わなければなりません。
相続税の申告・納付は、故人の死亡後10ヶ月以内に行う必要があります。相続税の計算は、各相続人の分まで計算しなければならないので、かなり煩雑です。

相続税は4つのステップで計算する

相続税は、大きく分けて以下の4つのステップで計算することになります。

  1. 課税遺産総額を計算する
  2. 相続税総額を計算する
  3. 各相続人の相続税額を計算する
  4. 各相続人の納税額を計算する

それぞれについて、見ていきましょう。

①課税遺産総額を計算する

最初は、課税する遺産の総額を計算します。課税遺産総額は、各相続人の課税価格の合計から「基礎控除額」を引くことで算出できます。まずは、被相続人の財産をリストアップすることから始めましょう。

財産には、預貯金や不動産などの「プラスの財産」と、債務や葬式費用などの「マイナスの財産」があります。相続財産の財産調査が終わったら、「正味相続財産」を出しましょう。

「正味相続財産」とは、プラスの財産からマイナスの財産を差し引いたものに、「みなし相続財産」と「贈与財産」を加算した金額のことをいいます。

最後に、「正味相続財産」から「基礎控除額」を引くことで、課税遺産総額を算出することができます。

課税遺産総額の計算 正味相続財産 – 基礎控除額

例えば、遺産総額が1億2000万円で、相続人に妻・長男・次男がいる場合の課税遺産総額は
1億2000万円 -( 3000万円 + 600万円 × 3 )= 7200万円
となります。

基礎控除額の計算方法と早見表

相続税には、基礎控除額があります。その額は、法定相続人の人数によって決められており、算出方法は以下のようになっています。

基礎控除額 = 3000万円 + (600万円 × 法定相続人の人数)

法定相続人には、相続放棄した人も含まれます。
養子は、実子がいる場合は1人のみ、いない場合は2人まで含めることができます。

②相続税総額を計算する

次に、相続税の総額を計算します。
相続税の総額を計算するには、以下の3つのステップ踏む必要があります。

  1. 各相続人の取得金額を計算する
  2. 各相続人の税額を計算する
  3. 相続税総額を計算する

それぞれについて見ていきましょう。

各相続人の取得金額を算出

各相続人の取得金額は、課税遺産総額から各相続人の法定相続分をかけることで算出します。
この時、実際の相続割合に関わらず、法定相続分で計算します。

取得金額の計算 課税遺産総額 × 各相続人の法定相続分

各相続人の税額を算出

取得金額に相続税率をかけたものから控除額を引くことで税額を計算することができます。
相続税率と控除額は、取得金額に応じて異なります。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

相続税総額を算出

最後に、各相続人の税額を足して相続税の総額を算出します。

相続税総額の計算 各人の税額の合計

先ほどと同く、遺産総額が1億2000万円で課税遺産総額が7200万円、相続人に妻・長男・次男がいる場合では、相続税総額は次の通りになります。

相続人名 取得金額 相続税率 控除額 各人の税額
3,600万円 20% 200万円 520万円
長男 1,800万円 15% 50万円 220万円
次男 1,800万円 15% 50万円 220万円

相続税総額 960万円

③各相続人の相続税額を計算する

3番目にすることは、相続税額の計算です。
相続税額は、相続税の総額に実際の相続割合をかけることで算出することができます。

各相続税額の計算 相続税総額 × 実際の相続割合

先ほどの家族の場合、各相続人の相続税額は次のように通りになります。

相続人名 相続税総額 実際の相続割合 各人の相続税額
960万円 50% 480万円
長男 960万円 25% 240万円
次男 960万円 25% 240万円

④各相続人の納税額を計算する

最後に、各相続人の納税額を計算します。
実際に支払う納税額は、各人の相続税額から該当する控除額を差し引いたものになります。

納税額の計算 相続税額 – 控除額

控除には、以下の4つがあります。

配偶者の税額の軽減 配偶者の場合、取得した遺産が1億6000万円または法定相続分のどちらか多い金額までは相続税が課税されません。
贈与税額控除 相続開始前3年以内に被相続人からの贈与により取得した財産について、納めた贈与税は控除されます。
未成年者控除・障害者控除 相続人が未成年または障害者の場合、一定の金額を相続税から差し引くことができます。
相次相続控除 10年以内に2回以上、相続があった場合、法定相続人については、1回目の相続の時に支払った相続税の一部を、2回目の相続税から差し引くことができます。

これまで例に出していた相続人に妻・長男・次男がいる場合では、妻は配偶者にあたるので控除が認められ相続税はかかりません。長男・次男については控除はないので、相続税額がそのまま納税額となります。

相続人名 各人の相続税額 控除 納税額
480万円 480万円 0円
長男 240万円 0円 240万円
次男 240万円 0円 240万円

まとめ

いかがでしたか?
相続税は、全ての相続人の相続分を元に計算する必要があるので複雑です。ただでさえ大変な相続税の計算ですが、今回ご説明した内容は、基本的なことだけです。

故人が多くの土地や不動産を所有していたり、会社を経営していた場合は、自分たちだけで手続きするのは困難でしょう。

そんな時は、是非、税理士に相談してください。節税対策についても、いいアドバイスがもらえます。
今回の記事が、皆様のお役に立てれば幸いです。