遺言書とは?自筆証書遺言と公正証書遺言の特徴と、遺言書が持つ5つの効力

遺言書とはどんなものか?

遺言書とは、自分の死後に、財産を誰にどのように分けるかを、法的なルールにのっとって書き示したものです。似た言葉で「遺書」という表現をすることがありますが、遺言書と遺書は明確に異なります。遺書とは、死ぬ間際に感謝の言葉や遺産分割の意思などを書き記すこともできるものですが、そもそも法的効力がありません。

 

遺言書がないと、人が亡くなった後は相続人同士で集まり、遺産をどのように分割するかを話し合い(遺産分割協議)、相続の方法が決まっていきます。この相続の方法について、被相続人が生前に法的ルールに則って意思表示をするものが、遺言書なのです。

近年、遺産問題で相続人同士が争い、一族がそれを機に険悪な関係になるといった話も起きています。家族の問題の芽を産まないためにも、遺言書を正しく準備しておくことは非常に重要です。

今回記事では、この遺言書で出来ることや遺言書の種類について、それぞれ説明していきます。

 

遺言書で出来ることと、必要性について

遺言書は法律に則って出来ることが決まっています。ここでは代表的なものを5つご紹介していきます。

 

相続分の指定

遺言書では誰に何をどのくらい分配するか、相続分の指定ができます。

相続割合とは、何の指定もなければ全ての遺産について民法で定められた「法定相続分」の割合に沿って決まっていきます。例えば長男には自宅を、次男には預金を遺したいというような場合などは、遺言書を残しておくことでこれが達成することができます。

相続人の廃除

被相続人(故人)に対して、生前に虐待行為や重大な侮辱行為をおこなっていた人物を、遺言書を使って相続人から除外することが可能です。

「相続人廃除」と言いますが、虐待や屈辱を与える行為だけでなく、被相続人の財産を不当に使い込んだり多額の借金を背負わせたり、また愛人と同棲するなどの不貞行為をする配偶者も、相続人廃除の対象とされる場合があります。

身分の認知

相続人と婚姻関係にない相手との間に子どもがいる場合、遺言書で被相続人の子どもとしてその子を認知することが可能です。

認知された我が子は法定相続人の権利を有し、遺産を相続することが可能です。

遺贈の遺言書で指定

遺言書がない場合、遺産は法定相続人内で分配され、相続が決まっていきます。

しかし遺言書を用意することで、相続権を持たない人に対して遺産を贈ることができます。これを「遺贈」といいます。

執行者の指定

遺産相続をする際には、各種手続が必要になります。この手続の執行者の指定を、遺言書でおこなうことが可能です。

遺言執行者の指定を事前にしておくことで、名義変更などの手続をスムーズにおこなうことができます。

 

遺言書の種類の解説

遺言書の種類はいくつかあります。ここでは代表的な遺言書について、書き方やポイントを解説していきます。

 

①自筆証書遺言

自筆証書遺言とは

「自筆証書遺言」とは、遺言を残す人が全文手書きで書く遺言書です。タイトルや日付といった内容と関係のない部分も全て手書きで書かなくてはいけません。

自筆証書遺言はご自身が思い立った時に気軽に書くことが出来る一方、記入間違いなどに気づかず、無効になってしまう可能性があります。

自筆証書遺言のメリット・デメリット

【メリット】

・紙とペンがあればいつでも作成できる

・作成に費用はかからない

・遺言書は自宅で保管しても良いし、法務局でも保管してもらえる(有料)

【デメリット】

・自宅保管の場合、死後に発見されないリスクがある

・自宅保管の場合、他者に改ざんされるリスクがある

・ルールに即した書き方が出来ていない可能性もあり、その場合遺言書は無効となる

 

書き方とポイント

自筆証書遺言を書く際の1番のポイントは、全文自筆で書くということです。代筆やパソコン作成は認められていません(ただし、財産目録の添付はその毎葉に署名押印をすることでパソコン作成可)。

全てが全文で書くと同時に、間違ったときの加筆修正方法も指定があります。また、あいまいな表現は避け、何を誰にどれくらい相続させるかを明確に書き記します。

ルールを正しく理解し、間違いのないよう気をつけて作成しましょう。

>>自筆証書遺言の詳しい書き方はこちら

②公正証書遺言

公正証書遺言とは

公正証書遺言とは、公証役場へ出向いて公証人に作成してもらう遺言書です。

時間やお金がかかる一方、プロの公証人に遺言書の作成をしてもらえるので、自筆証書遺言に比べて書き間違えるリスクはありません。

公正証書遺言のメリット・デメリット

【メリット】

・公証人が作成してくれるので、間違えるリスクが少ない

・公証役場での保管が可能で、紛失等のリスクがない

・遺言書の検認が不要

・遺言書に記載があるものについては遺産分割協議が不要

【デメリット】

・作成までに時間と手間がかかる

・公証役場に出向くか、公証人に指定の場所に来てもらう必要がある

・証人が2人以上必要

・遺産の額に応じて作成費用がかかる

 

書き方とポイント

公正証書遺言は、公証人が遺言者の希望を元に作成します。そのため、遺言書を作成する人が実際の書面を作成することはありません。ただし公正証書遺言には2人以上の証人が必要であったり、書類には実印を押す必要があったりしますので、適切な準備をして臨めるようにしましょう。

公正証書遺言の費用について

公正証書遺言の費用については、法律で金額が定められています。相続財産の金額によって変動しますので、以下の表を参考にしつつ、金額を把握しましょう。

目的の価額 手数料
100万円以下 5000円
100万円を超え200万円以下 7000円
200万円を超え500万円以下 11000円
500万円を超え1000万円以下 17000円
1000万円を超え3000万円以下 23000円
3000万円を超え5000万円以下 29000円
5000万円を超え1億円以下 43000円
1億円を超え3億円以下 4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額
3億円を超え10億円以下 9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額
10億円を超える場合 24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額

※日本公証人連合会HPより抜粋

 

③秘密証書遺言

秘密証書遺言は、言葉の通り遺言書の中身を秘密にしておくことが可能な遺言書です。ご自身で作成し、完成後に公証役場へ持ち込むことで署名捺印をしてもらい、ご自身で保管をします。

④特別方式の遺言書

通常の遺言書の作成ができない事態が迫っているとき作成する遺言を「特別方式遺言」といいます。災害や遭難などで死期が間近に迫っている場合、特別方式遺言を利用できる可能性があります。

特別方式遺言にもいくつか種類がありますが、遺言書の代筆を依頼できたり、証人への口述筆記で作成を進めることが可能です。

 

まとめ

遺言書と一言で言っても、種類や準備方法は異なります。ご自身が残したい財産や残したい人、状況によって、適切な準備をしておく必要があります。

また自筆証書遺言などは、書き方を誤ると無効になってしまうリスクもあります。難しいと感じる方はプロのサポートも取り入れつつ、きちんとした準備をおこなえると良いでしょう。